尋常性乾癬(じんじょうせいかんせん)Plaque Psoriasis, Psoriasis Vulgaris

最も一般的な乾癬で、健康な皮膚との境界が明瞭な、赤く盛りあがった患部に、フケに似た層状の死んだ細胞のかたまりが付着した病変をしています。
頭皮、髪の生え際、ひじ、ひざ、お尻、太もも、すねなどが多発する箇所です。
尋常性乾癬
どんな症状か?
「尋常(じんじょう)」とは、「普通であること」を意味します。尋常性乾癬は、最も一般的な乾癬で、境界の明瞭な① 紅斑、② 肥厚・浸潤、③ 鱗屑・落屑が見られます。かゆみを伴うこともあります。
① 紅斑(こうはん)
部分的に皮膚が赤くなることです。乾癬患部の皮膚内部では、通常よりも過剰に血管が作られ(血管新生と言います)、これにより皮膚が赤く見えます。発赤(はっせき、ほっせき)という事もあります。
乾癬患部は、周りの健康な皮膚とはっきりとした境界があるのが特徴です。アトピー性皮膚炎はそれと異なり、病変部と健康な部分の境界が不鮮明で徐々に色や肌の質感が変化していきます。
② 肥厚(ひこう)・浸潤(しんじゅん)
通常よりも厚さが増して、丘のように盛り上がっている状態を肥厚と言います。
浸潤とは、乾癬病変部の皮膚の内側にリンパ球が集まってくることです。血管内を流れ体中を循環していた白血球は、炎症が起きていることがわかると血管を抜け出し、そこに引き寄せられる性質があります。
乾癬患部では、浸潤によりリンパ球が集まり、さらに細胞分裂が繰り返されることで部分的に細胞の密度が増し、その結果、肥厚の状態になるわけです。
③ 鱗屑(りんせつ)・落屑(らくせつ)
鱗屑は、カサカサに乾いた死んだ表皮細胞のかたまりで、平たい層状の構造をしているのが特徴です。「鱗」は「うろこ」とも読み、「屑」は「くず」とも読みます。「鱗屑」は、「うろこ」状の死んだ細胞の「くず」ということになります。
皮膚組織の内側では、常に新しく若い細胞が産みだされ、逆に表面では、古い細胞が死んで皮膚の外側に排除されていっています。これをターンオーバーと言います。
健康な皮膚の細胞がターンオーバーに要する日数は、およそ28~40日とされています。一方、乾癬患部では、およそ4~5日という短い周期で皮膚のターンオーバーが起きています。健康な皮膚の約6倍の量、死んだ細胞が排出されて続けていることになります。このため、乾癬病変部では、絶えず薄い層のような構造をした死んだ表皮細胞のかたまりが付着している状態になります。これが鱗屑というわけです。そして、この鱗屑がポロリと落ちることを落屑(らくせつ)と言います。
起きやすい場所は?
全身、特に外部からの機械的刺激を受ける、頭皮、髪の生え際、ひじ、ひざ、お尻、太もも、すねなどが多発する箇所です。
同じ場所に、こする、ひっかくなどの機械刺激を与えることで、健康な皮膚に乾癬が発生するケースもります。これをケブネル現象と呼びます。衣服、眼鏡、ベルト、などでこすれる場所も同様です。
どんなことをするとなりやすいか?
肥満、タバコ、アルコール、特定の薬剤、感染症、皮膚の損傷、精神的ストレス、ビタミンD欠乏症などが誘因(原因のひとつ)となると言われています。
また、深い皮膚のひだの摩擦によっても起きやすくなります。
その他
爪に乾癬が発症すると、関節症性乾癬になりやすいと言われています。