乾癬のメカニズム / 用語Mechanism and Glossary of Psoriasis

乾癬のメカニズム / 用語
乾癬が発症するメカニズムや治療薬が効果を及ぼす際の各事象に関連する用語について説明いたします。
乾癬と炎症反応
乾癬は免疫の病気と言われます。皮膚の疾患である乾癬と、外敵から身を守る免疫は、一見なんの関わりも無いように思われるかもしれません。実は、免疫反応により細胞や組織が炎症を起こすことと、乾癬の発症には、密接な関わりがあることがわかっています。
細胞間における炎症反応の命令伝達
細胞間における、炎症反応の促進および抑制命令の伝達は、サイトカインという化学物質を介して行われます。命令を出す細胞がサイトカインを外部に分泌すると、それを受け取った近隣の細胞は細胞の働き方をチェンジします。炎症を促進するのか抑えるのかなど、どのような働きをするのかは、サイトカインの種類によって決められています。乾癬に関連する炎症促進性サイトカインにはTNF-α、IL-12、IL-17、IL-23などが、炎症抑制性サイトカインにはIL-10などが知られています。
炎症反応の命令を受け取った免疫系細胞は、その種類と働き方がガラリと変わります。これらの中で、Th1細胞、Th17細胞、Th22細胞などは、乾癬の発症に重要な役割をすると考えられています。
命令を受ける側の細胞の表面には、サイトカイン受容体というタンパク質が設置されていて、ここにサイトカインが結合することで、命令を受け取ることができます。サイトカインとそれを受容するサイトカイン受容体の組み合わせは、ある程度厳密に決められています。
細胞内における炎症反応の命令伝達
命令を受ける側の細胞の細胞膜表面にある受容体にサイトカインが結合すると、今度は、受容体から細胞核を目指して、細胞内におけるシグナル伝達が始まります。受容体から直接命令を受ける重要な因子が、JAKというタンパク質です。シグナル伝達が細胞核へ伝えられ、遺伝子発現が変化することで、細胞の働く方向性がシフトチェンジします。
一方、細胞が炎症反応に関し促進性の働きをするか、もしくは抑制性の働きをするかを決める重要な要素の一つに、cAMP濃度の関与が知られています。そのため、cAMPの濃度を調節するPDE4という酵素の濃度も、乾癬の発症に密接な関わりを持っています。