アプレミラスト(製剤名:オテズラ)Apremilast(Otezla)

アプレミラスト(製剤名:オテズラ)は、局所療法で効果不十分な尋常性乾癬、関節症性乾癬で使用される経口薬(飲み薬、内服薬)です。
PDE4(ホスホ ジエステラーゼ4)という酵素の働きを抑え、cAMP量を上昇させ、炎症反応を抑制することで、乾癬の症状を改善すると考えられています。
一般的な病院や医院など、多くの医療機関で処方してもらえます。
前提のメカニズム
乾癬の発症には、生体防御を目的とする免疫機能の中の、炎症反応が深く関わっています。
細胞内部には、炎症反応のON/OFのスイッチの調節を行うcAMPという物質が存在しています。細胞は、この物質の濃度が高いと炎症反応を抑制する方へ、濃度が低いと促進する方へ舵を切ることがわかっています。このcAMPの量を減少させる酵素にPDE4という分子があり、現在、この酵素が細胞内に過剰に発現することで、cAMPの濃度が低下し、乾癬が発症すると考えられています。
それぞれについての詳細は以下のページをご覧ください。
アプレミラストの治療メカニズム(作用機序)
アプレミラスト(Apremilast)は分子サイズの小さな薬で、飲み薬として摂取され細胞に取り込まれると、PDE4(ホスホ ジエステラーゼ4)と結合します。
アプレミラストがPDE4にくっついた状態では、cAMPはPDE4に結合できません。そのため、「cAMP→AMP」の反応が進まなくなります。

アプレミラストによるPDE4の酵素反応の阻害と炎症反応の抑制
アプレミラストがPDE4と結合すると、cAMPがPDE4に結合できなくなる。cAMPの構造変化反応が阻害されるため、細胞中のcAMP濃度が徐々に上昇すると考えられる。
「cAMP→AMP」の変換反応が抑えられると、cAMPが溜まり、結果としてアプレミラスト非投与の状態に比べてcAMP量が上昇することになります。
それまで炎症反応を促進する方に傾いていた細胞の働きが、炎症反応を抑える方(抗炎症反応)へシフトチェンジします。その結果、皮膚組織の炎症反応が緩和されることで、乾癬の症状が改善すると考えられています。

アプレミラストによるPDE4の阻害
アプレミラストがPDE4に結合すると、cAMPがPDE4と結合できなくなり、「cAMP→AMP」という変換反応が進まなくなる。すると、細胞内のcAMP濃度が上昇し、細胞の働きが炎症反応を抑制する方へシフトチェンジし、その結果、乾癬の症状が緩和していくと考えられる。
少し難しいですが、まとめるとアプレミラストによる乾癬症状緩和の作用メカニズムは以下のようになります。
- 過剰に発現したPDE4によりcAMPが減少し、細胞が炎症反応を促進し、乾癬が発症している。
- アプレミラストが、PDE4と結合し、「cAMP→AMP」という反応を阻害する。
- cAMP量が上昇する。
- 細胞が、炎症反応を抑制する方へ働きをシフトチェンジする。
- 乾癬の症状が緩和する。
アプレミラストはホスホ ジエステラーゼ4(PDE4)による「cAMP→AMP」の変換反応を阻害するので、PDE4阻害剤と呼ばれます。
基本情報
どうやって使用するの?
経口薬(飲み薬、内服薬)で、剤形は錠剤です。
どんな時に使用されるの?
局所療法で効果不十分な尋常性乾癬、関節症性乾癬が、適応疾患となります。
どこで出してもらえる?
処方箋(しょほうせん)医薬品となりますので、医師による診断と処方箋が必要になります。ドラッグストアなどで直接購入することはできません。
生物学的製剤(バイオ医薬品)と異なり、一般的な病院や医院など多くの医療機関で処方してもらえる薬です。