乾癬と炎症反応Psoriasis and Inflammatory

乾癬の症状には炎症反応が関与
乾癬は、赤みの差した皮膚と、その上にフケのような白いカケラが付着するのが特徴の皮膚の病気です。
皮膚に赤みが差す大きな理由は、皮膚の奥側の真皮と呼ばれる領域で、毛細血管の幅が太くなったり(血管拡張)、新しく血管ができること(血管新生)にあると考えられています。
一方、フケのようなカケラである鱗屑(りんせつ)がどんどんできる理由は、皮膚の最も表側(外側)の表皮という領域で、表皮を構成する角化細胞の細胞分裂が盛んになりすぎて、通常よりもたくさんの皮膚のカケラが生産されてしまうことにあると考えられています。角化細胞が生まれてから体外に剥がれ落ちる(ターンオーバー)までの日数は、通常28~42日のところ、乾癬の患部では3~8日と、大変速いペースで細胞の入れ替えが起きています。
これらの現象の根本にあるのが、免疫機能の中の炎症反応です。
免疫系の細胞に「炎症を起こせ」という命令が伝わると、免疫系細胞は真皮に移動し、今度は自分自身が周りの細胞に「炎症を起こせ」と命令し始めます。すると真皮では、毛細血管の拡張が起きたり、新しく血管ができたりして、皮膚が赤くなります。そして表皮では、角化細胞の増殖サイクルの速度が増し、死んだ細胞のかけらである鱗屑が体外にどんどん排出されていきます。
免疫と炎症反応について
免疫は、生体防御を目的とする人体の機能です。炎症反応は、人体に侵入した外敵の排除や破壊された組織の再生などを行い、身体を元の状態に戻そうとする働きのことです。
これらは、我々の身体を常に守り維持するために無くてはならない必須の機能です。
表皮の角化細胞(ケラチノサイト)が剥がれ体外へ排出される様子
皮膚の最も外側は、死んだ角化細胞(ケラチノサイト)に覆われている。角化細胞は、基底膜付近では生きており、細胞分裂をして体外方向へ移動する過程で細胞死を起こす。最も外側の角質層では、死んだ角質細胞が層になって堆積しており、これらは普段の生活をするなかで徐々に剥がれ排出されていく。頭皮のフケや、乾癬、アトピーの患者さんの皮膚から落ちる白くて薄い皮膚のカケラがまさにこれである。
「炎症を起こせ」という命令
炎症反応は、ある時突然、複数の細胞が起こすわけではありません。まず最初に「炎症を起こせ」と騒ぎ立てる細胞が現れ、その声を聞いて今度は、今まで静かにしていた近隣の細胞もつられて「炎症を起こせ」と騒ぎ出します。免疫系の細胞は動き回ったり周りにまくしたて続け、表皮の細胞はどんどん分裂し、血管を構成する細胞も様相を変え、これらの騒動が過剰になることで乾癬が発症します。
このような炎症反応が周りに伝播するためには、以下のようなたくさんの要素が複雑に絡み合っていることがわかっています。
- 「炎症を起こせ」という 命令を出す細胞 と 命令を受ける細胞
- 細胞から細胞へ命令を伝えるための 細胞間シグナル伝達物質
- 上記を受け取るための 受容体タンパク質
- 細胞内において細胞核へ命令を伝えるための 細胞内シグナル伝達物質
- その他の化学物質、酵素、遺伝子など
炎症反応促進の命令を伝える細胞内・外のシグナル伝達
炎症反応促進の指令を出す細胞が、シグナル伝達物質を細胞外へ分泌する。これを受け取った細胞は、細胞の働きが炎症反応促進へとシフトチェンジし、自らもシグナル伝達物質を分泌するようになる。最終的に、皮膚の最も外側(表層)の角化細胞も、炎症反応を促進するようになる。
シグナルを受け取った細胞の内部では、細胞表層から細胞核へ向け、炎症反応促進のシグナルが伝えられ、最終的に核の遺伝子発現が変化し、細胞の働きが炎症反応促進へとシフトチェンジする。



