デュークラバシチニブ(製剤名:ソーティクツ)Deucravacitinib(Sotyktu)

デュークラバシチニブ(製剤名:ソーティクツ)は、尋常性乾癬、膿疱性乾癬および乾癬性紅皮症の方が処方対象となる内服薬(飲み薬、経口薬)です。
TYK2(チロシン キナーゼ2)という酵素の働きを阻害することで、細胞内における炎症反応の伝達を阻害し、乾癬の症状を改善すると考えられています。
一般的な病院や医院など、多くの医療機関で処方してもらえます。
前提のメカニズム
乾癬の発症には、生体防御を目的とする免疫機能の中の、炎症反応が深く関わっています。
炎症反応が起きる際、「炎症を起こせ」という命令をくだす側の細胞は、サイトカインという化学物質を細胞外に分泌することで、周囲の細胞に指令を伝えます。
命令を受ける側の細胞がこれを受け取ると、命令伝達の舞台は細胞の内部へと映ります。細胞膜近傍から細胞核へ向かい種々のシグナル伝達が起こるのですが、そのスタートを切るのがTYK2という酵素です。
TYK2の活性化は、サイトカインを受け取り活性化した状態のサイトカイン受容体により誘導されます。
それぞれについての詳細は以下のページをご覧ください。
デュークラバシチニブの治療メカニズム(作用機序)
デュークラバシチニブ(Deucravacitinib)は分子サイズの小さな薬で、飲み薬として摂取され細胞に取り込まれると、JAK(ヤヌス キナーゼ)の一種であるTYK2(チロシン キナーゼ2 またはティック ツー)という酵素と結合します。
通常、「炎症を起こせ」という命令を出す細胞から分泌されたIL(インターロイキン)-12、IL-23、I型IFN(インターフェロン)などのサイトカインが、命令を受ける側の細胞の受容体に結合すると、受容体の活性化が起こり、これが今度はTYK2を活性化させ、結果として乾癬が発症します。
しかし、デュークラバシチニブがTYK2に結合することで、TYK2の活性化が阻害されるため、「炎症を起こせ」という命令がここで遮断され、その結果、乾癬の症状が緩和すると考えられています。

デュークラバシチニブ(ソーティクツ)によるJAKの活性化の阻害
デュークラバシチニブがTYK2に結合することで、受容体によるTYK2の活性化が起きなくなる。TYK2が活性化されないので、炎症反応を促進するシグナル伝達がここで途絶えることになる。
JAKには、JAKファミリーと呼ばれる構造と働きの似た4つのグループがあり、その中の一つがTYK2です。
- JAK1(Janus kinase 1、ヤヌス キナーゼ1)
- JAK2(Janus kinase 2)
- JAK3(Janus kinase 3)
- TYK2(Tyrosine kinase 2、チロシン キナーゼ2またはタイロシン キナーゼ2)
基本情報
どうやって使用するの?
経口薬(飲み薬、内服薬)で、剤形は錠剤です。
どんな時に使用されるの?
既存治療で効果不十分な尋常性乾癬、膿疱性乾癬および乾癬性紅皮症が、乾癬での適応となります。
どこで出してもらえる?
処方箋(しょほうせん)医薬品となりますので、医師による診断と処方箋が必要になります。ドラッグストアなどで直接購入することはできません。