スペソリマブ(製剤名:スペビゴ)Spesolimab(Spevigo)

スペソリマブ(製剤名:スペビゴ)は、膿疱性乾癬における急性症状の改善を目的とした初めての治療薬、薬の種類は生物学的製剤(バイオ医薬品)、剤形は点滴となります。
炎症反応を促進するシグナル伝達物質 IL-36と結合するIL-36 受容体の働きを阻害することで、乾癬の症状を改善すると考えられています。
前提のメカニズム
乾癬の発症には、生体防御を目的とする免疫機能の中の、炎症反応が深く関わっています。
炎症反応が起きる際、「炎症を起こせ」という命令をくだす側の細胞は、サイトカインという化学物質を細胞外に分泌することで、周囲の細胞に指令を伝えます。このようなサイトカインは複数の種類が知られており、その中の一つにIL-36があると考えられています。
それぞれについての詳細は以下のページをご覧ください。
スペソリマブの効果メカニズム(作用機序)
スペソリマブ(Spesolimab)は、IL-36 受容体と特異的に結合するよう作られた抗体を有効成分とする薬です。
抗体は、免疫系の細胞が産生する「ミサイルや矢」のような役割をする大きな分子で、抗原(標的)に結合しその働きを阻害したり、破壊するのを手伝います。

スペソリマブによるIL-36 受容体の阻害
スペソリマブはIL-36 受容体に結合します。すると、IL-36とIL-36 受容体が結合できなくなり、細胞内への炎症反応のシグナル伝達が抑制されます。
乾癬が発症している箇所の近傍では、「炎症を起こせ」という命令が過剰に飛び交っている状態です。
スペソリマブがここへ辿り着くと、IL-36 受容体と結合し、IL-36とIL-36 受容体との結合を阻害します。すると、「炎症を起こせ」という命令伝達がここでストップし、その結果、炎症反応が減少し乾癬の症状が緩和すると考えられています。
基本情報
どうやって使用するの?
抗体製剤の入った薬液を、点滴で静脈注射します。
どんな時に使用されるの?
膿疱性乾癬における急性症状の改善を目的としています。
どこで出してもらえる?
処方箋(しょほうせん)医薬品となりますので、医師による診断と処方箋が必要になります。ドラッグストアなどで直接購入することはできません。
他の生物的製剤同様、乾癬生物学的製剤使用承認施設でのみの処方となるかは、現状、不明です。
公益社団法人日本皮膚科学会 乾癬生物学的製剤使用承認施設
https://www.dermatol.or.jp/modules/biologics/index.php?content_id=4#syounin